Royal Blue Horizon (2007.02)




この「Royal Blue Horizon」は、展示会場の備品であるショーケース八基を環を描くように設置し、和紙に書いたロイヤルブルーマウンテンをそれぞれのケースの中に収めた作品である。

ショーケースを環状に設置することで、そこに二つの視点と認識が生まれることになる。まずひとつめに、文章を正常な位置から捉えることで(環の内側から文章を見ることで)、その文章が山の形を成していると認識することができる。ふたつめに、文章を逆さまの位置から捉えることで(環の外側から文章を見ることで)、それは山の形としても空の形としても認識することができる。

我々は普段から目に見えるものを「線」で捉えがちである。線というものはおそらく本来は存在しないはずで、この作品における山と空を分け隔てる稜線も、身体の輪郭線も地平線もないはずで、我々の目はそこにある光と影の境界をとりあえず線として捉えてしまっているだけである。

この作品に書いてあるものが山であれ空であれ、観客の視線をその中間にある稜線に集中させながらも、意識を山にも空にも分散させ、さらに環状の形態から地球のような「around」を意識させ、さらには作品(景色)を見渡すという意識を働かせるために、この作品を「Royal Blue Horizon」と名付けた。





2007|和紙に万年筆, ショーケース|インスタレーションサイズ
rael|名古屋市市政資料館