note house/05 -滲む家、滲む言葉-
急に空気が寒くなってきて、長袖シャツを着てみる。袖を通す感触に違和感がある。まだ八月なんですけれど、、、と皮膚が困惑しているかのようで。
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常滑での作業はこの土日でようやく漆喰の下塗りを終えた。この家に初めて入った時から一ヶ月と少しが経ち、まだあちこち汚れてはいるものの、壁が白くなったことで全体の空間が少し広がったように見える。白い壁は光を反射して、淡い予感を滲ませる。
予定より遅れているが、来週にシーラーを施して、いよいよ本塗りの行程に入ることができる。万年筆の出番はまだもう少し先になりそう。
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改装作業に没入しながらも、その家に問いかける言葉を探している。
その古い家は言葉を無くしている。海と共にゆっくりと満ち干を繰り返す川の沿いで、言葉を無くして佇んでいる。家主を失い、長い間の不在の影が黴の匂いと化したこの家に、再び言葉を問いかけ、そこに言葉が滲む瞬間を待っている。
待っているのは、自分自身だろうか。それとも、この家自体だろうか。
