2007/12/30

2004.12.30 -言葉になりやしない-

ずっと日記を書いていなかった。書いても良かったんだけど、なぜかここまで来れなかった。今年もあと1日で終わりというところに近付いてペンを執ってみた。

そして今はベルリンにいる。妙な運命というのか何なのか。今回は1週間の滞在だし、たぶんこの留学中で最後のベルリンにもなると思って、ふつうに観光気分で巡っている。色々なところに行くことができた。今日は念願のベルリン動物園へ行った。

この何日かで色々見てきた。記憶は高速で積み重ねられていく。積もって、忘れられていくのか、その中で浮いて残るものがあるのか。

まぁ、なんだろうね、そういうことも別に考えなくて良い。
あと2ヶ月、日本へ帰る日もどんどん近付いてきている。

何か変なの。言葉になりやしないんだ。

2007/12/15

2004.12.15 -party-

この景色もいつか過ぎ去る。
今も過ぎ去っている。
次から次へと。
映画のように、フィルムのように、過ぎ去っている。

きっと次の日にはほとんどのことを忘れてる。
流れだけ
なんとなくの流れだけ
覚えて。
あとは過ぎ去る。
音楽も光もビールも話し声も、全て過去のもの。

3年後
5年後
10年後を待て。

言葉が、
僕だけの本当の言葉が浮き上がってくる時を待て。

その時、言葉は過去でもなく未来でもなく、
現在にとどまる。

ずっとリアルで在り続ける。
その時は、きっと次の瞬間にも僕の前に在る。

3年後
5年後
10年後、

記憶の寄せ集め
記憶の断片、
デパートのお菓子売り場
地球のようにゆっくり巡るコンペイトウ

そっと救い上げる、
そっと掬い上げる。

誰の為でもない、
僕の為に。

僕の中にいるあなたの為に、
確かに救いたい。

パーティーなんてくそくらえ。
罪のない音楽なんてくそくらえ。
罪のある音楽が聴きたい。
罪のある人、
僕か、
あるいは裏側のあの人か、
僕はどこにいる。

ビールに惑わされた情けない僕はどこにいる。

空気を見ろ、
漂う空気の塊を見ろ、
3年後
5年後
10年後の
空気の塊を。

過ぎ去った先を求めてる。
なぜ?
なぜそこまで先を求める?
それが現在、
過ぎ去った先を見ることは
未来を夢見ること、
現在からながめる。

僕はどんな文章が書ける。
現在をつづる。
もう一人の僕。
青山登。

彼の見る世界、
もう一つの世界、
そこには過去も未来も現在も
フィクションもノンフィクションも
何もない。
ただ空気の塊が
浮遊しているように
感じるだけ。

尻が痛いのも
吸い殻入りのビールを平気で飲んでも
いつか忘れる。

忘れてしまえばいつか吐ける。
吐きたいから忘れていく。
忘れたくない。
忘れない。

こうして書き続けることで
僕は忘れない。

たぶんね。
きっとね。

先のことは誰にも分からない。
21世紀に合い言葉みたいに、
僕はその言葉を頼りに
生きてるだけ。

2007/12/13

2004.12.13 -長い日記-

ほとんど毎日変わらない。

何の変哲もない非日常を送っているから、毎日書くことなんてそんなにないのだ。そうやって日記をサボる癖をつけてしまうから、時々何か起こっても書こうという気が起こらない。まぁそれもいい。忘れていく毎日の中できっと残っていくものもあるだろう。残っているものがいつか芽を吹く。その時までゆっくり待てば良い。僕には焦らなくたって充分な時間があるのだから。

小説を書いていると本当にそう思う。何を焦ってるんだろうって。今の僕に書けることなんてとても限られているんだ。だけど書きたい。書くしかない。書きたい時に書ける今この瞬間に。

2007/12/11

2004.12.11 -ドイツの女性-

この人は何歳くらいだろう。27〜30くらいかな。誰かに似ている。落ち着いた雰囲気で無口。細い身体、髪の毛の量は多くて、もっと梳けば良いのにといつも見て思う。顔も細くて鼻の高さが際立って見える。横から見るとまるで遠方に望むエベレストのようだ。ブルージーンズに赤のセーターを着て、その上にピンクのカーディガンを羽織っている。セーターの首周りに花柄のアップリケ?が施されている。濃い赤、バラか赤ワインの色のようなマフラーを巻いている。生地はベルベットみたい。

外国人を見ていると、その人に似ている日本人の知り合いをそこにあてはめてみることがよくある。この外国人はあの人に似ているな、という感じで。

例えばこの女性はバイト先の27歳の女性と、大学の同じコースにいる女性に似ている。共通するのは物静かで落ち着いていて色白で、どこか影が差した面持ちが見える。人間誰だって影はあるかも知れないけど、大人しい人というのはそれが目立ってしまうのかも知れない。馬にも似ている。でも悪い意味じゃなく、ちょっと悪い意味かも知れないけど、引退間際の競走馬みたいな。生粋のドイツ人だろうか。他国の血が混じっていそう。その血が影の濃さを増している要因だ。さっきからずっと立ったままでコーヒーカップを持って腹の前に据えている。時折髪の毛や首元に手をやる。声は結構低くて話し出すと年齢がバレる。もう若くはないのか。じっと観察していると意外に口が大きくて、時折見せる笑顔には魔女みたいな妖気を感じる。



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この人は24〜27歳くらいだろうか。ものすごく大人しい人。友達もあまりここにはいないみたいで、いつも大体ひとり。髪を後ろでひとつに束ねている。黒いふわふわしたリボンだ。Vネックの黒いセーター、その下には紫のシャツを着ている。首元が見える。彼女は本当に白い。そして眉も口も真っ直ぐで、まるで彫刻みたいに動くことがない、ほとんど。ただ眠たいだけなのかも知れないが、まばたきがとてもゆっくりで、その一回一回が印象的だ。空気に振動が伝わるようなかすかなまばたき。首が長い。耳の後ろから首筋にかけての骨がきれいだ。細い指先をあごや口元や目元にやる。繊細な動き。

よく見ると黒いセーターではなかった。セーター生地のコートみたいなカーディガンみたいなものだった。丈の長い。生地も薄い。席から立って歩くと、より背が高く見えて、颯爽と歩く。姿勢も真っ直ぐ。余分な肉が付いていなくて横顔が綺麗だ。時折、墨汁が紙に染み込んでいくような微笑みを見せる。何を考えているかは分かるわけないけど、外国人という枠を超えて、他者という枠を超えて分からない。彼女の場合においては。清楚。無駄がない。いや、彼女の場合は無駄を見せていないだけなのかも知れない。ゆっくりとした落ち着いた呼吸が聴こえてくるようである。クールな眼。何かを確実に捉えているようでもあり、実は何も捉えていないような、その違いの見分けがつかない。無駄を見せていないから、そういう表情も見せない。

あの子の雰囲気、匂いがもっと強力になった感じだろうか。あの人のような戸惑いを隠しきれない不器用さはない。器用に無駄を隠してしまうのだ。それがある意味不器用さでもあり、クールなのがただ冷たさだけに映ってしまう時があるのかも知れない。

2007/12/08

2004.12.08 -良い天気ですねェ-

同じゼミのセバスチャンからメールが届いていた。今夜、うちでパーティーをするからおいでよ、というような内容だった。


突然のメールで驚いたと同時に、ようやくパーティーに誘われるようになったんだと安堵。セバスチャンはゼミの中で最も日本の芸大生に近いセンスをしていると思う。どこか子どもっぽさが抜けなくて、良い意味での変人。ゼミでは時々話をする程度だったのに、今回誘ってくれたのはやはり近いものを感じたからだろうか。



セバスチャンの家は古いアパートだったが、素敵な部屋だった。僕が住んでいる寮と違って、家具はもちろんのこと、床や壁に生活感が染み込んでいる。人の営みが家を温かくする。

セバスチャンの彼女とセバスチャンの従兄弟がいて、皆でラザニアを食べ、黒澤明の「天国と地獄」を見た。セバスチャンは兄弟が東京に留学していたり、アメリカを旅行した時に日本人と親しくなったりと、日本に興味があるらしい。「イイテンキデスネェ」(良い天気ですねェ)という日本語を知っていた。

留学期間を半分終えて、ドイツ人の友達と呼べる存在がやっとできたようだ。

2007/12/05

2004.12.05 -日曜日の冬空は-

日曜日は大抵の店は閉まっているし、もともとワイマールには大した店はない。だから特に外へ出かける理由も見出せない。寒いし、結局引きこもってしまう。日本の引きこもりとはワケが違う。わざわざドイツで、一応やるべきことはやっているのだから。

今日、昼は晴れてた。

部屋の掃除をし終わった途端にいつも通り曇ってきた。動けない自分が情けない。外出するよりも閉じこもっていた方が良いんだ、という気がしてしまう。

ドイツの冬空は重たい。

2007/12/04

2004.12.04 -反芻する-

物語にしなくちゃいけないことがある。

コンピュータルームから出て、いつものように寮までの短い道程を歩いている。おもちゃ屋の前で小さな女の子がクマの人形を抱えて、少し離れたところにいる母親を追いかけていた。

ふと、北区の家を思い出す。
彼女とあの町を歩いてみたいと思う。

僕が育った町。別にあそこが好きというわけでも嫌いというわけでもない。2歳から17歳までの記憶と共に、ただそこにあるだけ。懐古趣味だろうか。

僕はいつもこうやって、現在にありながら未来を思い、過去を反芻し続けている。

2007/12/02

2004.12.02 -作品が日本に届いた日-

今日、大学の研究室と彼女から卒展作品が届いたというメールを受け取った。無事に日本まで届いた。良かった。あとは小林先生に作品を見てもらってその評価を待つことになる。

現時点で、僕は卒展作品を作ったけど、その作品が卒展に出せるとはまだ決まっていない。すべては先生の評価による。まぁ大丈夫だとは思う。やりたいことを精一杯やったまで。



そういえば昨日の夜は12時過ぎに眠り、今日は朝の8時に起きた。普段からしてみると快挙である。朝5時まで起きている日があるかと思えばこんな日もあって、生活は乱れに乱れている。

だから今日は朝ご飯をちゃんと食べて、昼近くまでパソコンの前で悶々としていた。途中11時頃にまたしても原因不明の腹痛に襲われ、少しの間ベッドに横になっていた。

回復してからコンピュータルームに行ってメールをして、帰りにスーパーで買い物をして、家に戻って昼ご飯をちゃんと食べて、夕方6時くらいまで再びパソコンの前で悶々として、気晴らしに再びコンピュータルームへ行きネットをして、8時くらいに家に戻って、晩ご飯をちゃんと食べて、それからトレーナーを手洗いでゴシゴシと洗って、ふぅっと一息ついて、日記を書き始めて今に至る。

21時43分。

毎日ずっとこんな感じ。
多少の差こそあれ、ずっとこんな感じで暮らしてる。
そして小説を書いている。

2007/12/01

2004.12.01 -a piece of......-

師走に入った。

2004年が終わっていく。12月に入ったばかりというにこの1年を振り返ってしまうが、とても長く、とても速く、とてもリアルな1年だった。



ところで卒展作品のタイトルは日本語で「ひとひらの声」だが、一応英語でも考えた。

「ひとひら」というのが訳しにくいが最終的に「a piece of voice」で落ち着いた。今日、そのことを彼女にメールで話したら、偶然にも彼女の卒展作品のタイトルは「a piece of sky」だった。